第6報:心不全と上手に付き合う-その1-


いよいよ今回は、わたしのもっとも専門とする分野。心不全についてお話しましょう。

といっても、いきなり心不全の話を進めると、かなり難しくなってしまうので、 今回は、心不全とお付き合いするための考え方という、患者さん目線のお話にとどめたいと思います。 気楽にお付き合いくださいね。

まず、これだけは知っておいて欲しいという2つのことについてお話しましょう。

1つ目は、心不全という病気は、すべての心臓病から生じ得るということです。 そういう意味では、心不全というものは、病気というより、病態という方が相応しいかもしれません。 ですから、心臓が悪いと診断された場合、心不全を起こす可能性が常につきまとうことになるわけです。

2つ目は、1つ目とも重なることなのですが、心不全と心臓病とは全く異なる病態だということです。 このことを区別することは、患者さんの健康管理において極めて重要ですから、 ここでしっかり強調しておきたいと思います。ここのところは、ちょっと難しいかもしれませんが、 後ほど繰り返し説明していきますね。

では、どうやって心不全とお付き合いしていくべきか、について簡単に説明してみたいと思います。
準備はいいですか?

まず、心臓病(特に心機能)は、お薬ではほとんど改善しないということをしっかり認識することです。 こう言うと、みもふたも無い感じがして、絶望的な気持ちになりますが、この事実は絶対に受け入れなければなりません。
ただし、ガックリばかりいては体に良くありませんから、次のこともしっかり肝に銘じるようにしましょう。

心機能が悪くても、元気で長生きできる。

つまり、心臓が悪くても、心不全さえ起こさなければ、元気で長生きできるのです。 そして、心不全はお薬や、生活習慣・運動習慣の改善で予防が可能なのです。 たとえ、重症の心臓病であっても、です。
その意味では、心不全とは、患者さんの頑張り一つで、病気と上手に付き合える病態とも言えるでしょう。

では、どうすれば、上手に心不全とお付き合いする(心不全を予防する)ことが出来るのでしょうか。

それにはまず、ご自身の病気ならびに心不全の早期発見・予防法を良く知ることです。
簡単なことですが、ここが最もおろそかにされているところですから、しつこく強調しておきます。

当院では、まず、患者さんの心機能評価を行い、それに従った治療方針の決定を行いますが、 その際、徹底的に患者さんに心不全教育を行っております。
心不全は、医者が治すものではありません。 患者さんと医療従事者とが一体となって、はじめて治療効果が上がるものなのです。 自分の体は自分で守る。この意識なくして病気とは付き合えないのです。(次号に続く)


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