第3報:コレステロールとどう付き合う?
いよいよ動脈硬化を促進する悪代官、コレステロールに焦点を当ててみましょう。
ちょっと難しくなりますが、そこはハート通信。できるだけ簡単に説明していきますね。用意はいいですか?
これまで血液検査で「総コレステロール値」が高い場合、「高脂血症」との診断がつき、治療が開始されてきましたが、
最近、「脂質異常症」という、何だか難しい診断名に変わったことを、みなさんご存知ですか?
コレステロールや、中性脂肪は水に溶けないため(油ですからね)、それをリポ蛋白という膜で覆って、
水に溶ける形にして、血管の中を運びます。その形態によって、善玉コレステロール(HDL-C)、
悪玉コレステロール(LDL-C)など5種類に分類されるのですが、この事は、これまでもよく知られていました。
ところが、最近、それぞれを簡単に定量評価出来るようになり、実情に沿った呼称に変えられたのです。
つまり、動脈硬化を促進する悪玉コレステロール値(LDL-C)を
主に治療のターゲットにすべきという考え方に変わってきたのです。
その意味では、「高悪玉コレステロール血症」という診断名でもよかったのかもしれませんが、
ちょっと格好悪いですから・・・。
一方、善玉コレステロール(HDL-C)はというと、これは、余分なコレステロールを運んで、
捨ててくれるという優れもの。一頃は、高HDL-C血症の人達を、長寿症候群なんて素敵な病名?で呼んでいたものです。
また、中性脂肪に関しても、脳梗塞のリスクを高めることが明らかにされ、
治療のターゲットにされるようになりました。こちらは、簡単に「高中性脂肪血症」と
呼んでもよさそうですが、高LDL-C血症と合わせて、「脂質異常症」という診断名となったのでしょう。
では、どうやってこの「脂質異常症」に対処していくべきなのでしょう?
みなさん、薄々わかっていらっしゃると思いますが、ずばり、食事と運動、これですね。
まず、一日の食事総量の適正化(標準体重×25~30 kcal)に加え、動物性脂肪を抑えることが重要ですが、
これはやっぱり大変。ハート通信では、毎日体重を測定し、現在の体重を増やさない事を提案します。
ついで、運動ですが、これはちょっときついかな、程度の散歩をお勧めします。
時間は、一日30分以上、週の合計が2時間以上となるよう頑張ってくださいね。
もっとも、細切れの運動でも効果があるとされていますので、
日常生活の中で歩く時間を少し長くするだけでも有効です。
万歩計を購入して、一日歩数を10%アップさせましょう。そして、それをあなたの運動習慣にしてしまうのです。
それでも、「脂質異常症」と診断された場合、悪玉コレステロール・中性脂肪をそれぞれターゲットとして、
内服治療をスタートさせることになります。悪玉コレステロールを最も低下させるスタチン。
中性脂肪を低下させるフィブラート・ニコチン酸。さらには小腸からのコレステロール吸収を低下させるエゼミチブと、
種類も豊富。しかも動脈硬化性疾患の予防効果は折り紙付きです。
もし、あなたがコレステロールのお薬をもらっていたら、ちょっと調べてみてください。
まずご自身の病気に興味を持つこと。これはとっても大切なことなんですよ。
今回はちょっと難しかったでしょうか。しかし、ここは、私の得意とする分野の一つ。
お気軽にご質問いただければ、それにお答えしていきますね。(もうたくさん?)
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